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「サマータイム」 佐藤多佳子

サマータイム

佳奈が十二で、ぼくが十一だった夏。どしゃ降りの雨のプール、じたばたもがくような、不思議な泳ぎをする彼に、ぼくは出会った。左腕と父親を失った代わりに、大人びた雰囲気を身につけた彼。そして、ぼくと佳奈。たがいに感電する、不思議な図形。友情じゃなく、もっと特別ななにか。ひりひりして、でも眩しい、あの夏。他者という世界を、素手で発見する一瞬のきらめき。鮮烈なデビュー作。

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文章が、とても好きです。いいなぁ。好きだなぁ、この感じ。私がこんなこと言うのは変だけど、でもとても透明感があるというか、瑞々しくて、綺麗。優しくて切なくて、でもぬくもりが感じられる。情景描写や会話が、繊細で、静かに息づいているように生き生きしている。たとえば、「陽気なギャング」のような活力ある“生き生き”とは違うけれど、こちらの文章もとても生き生きしている。そしてとても映像的。綺麗で優しいけれど、だからこそどこかさびしげで・・・。イメージとしては、夏の終わり、みたいな。夏の終わりのようなキラキラと切なさを併せ持っている作品、という印象。どこかさびしいけれど、これから新しいことがはじまる、というなんとなくそわそわしたかんじ。

どことなく、湯本香樹実さんと同じにおいがした。「夏の庭」とか。

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受信: 2006年9月17日 (日) 02:52

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