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「しゃべれどもしゃべれども」 佐藤多佳子

しゃべれどもしゃべれども
俺は今昔亭三つ葉。当年二十六。三度のメシより落語が好きで、噺家になったはいいが、未だ前座よりちょい上の二ツ目。自慢じゃないが、頑固でめっぽう気が短い。女の気持ちにゃとんと疎い。そんな俺に、落語指南を頼む物好きが現われた。だけどこれが困りもんばっかりで…胸がキュンとして、思わずグッときて、むくむく元気が出てくる。読み終えたらあなたもいい人になってる率100%。

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佐藤さんの作品って、別に盛り上がりどころが無いんですよね。なんでもないような、日常の中の些細な話で、ドラマチックでもないし、衝撃的なラストもない。だけど、なんだかじんわりと沁みこむような文章で、読後感は気持ち良い。痛快、に近い爽快感ではなく、清々しいという意味での爽快感に溢れている。

佐藤さんの作品はまだ「サマータイム」とこれと2作しか読んだことはないけれど、とても丁寧で瑞々しくて、登場人物たちへの愛情が感じられる文章だと思う。私の中では、佐藤さんの作品と湯本香樹実さんの作品は同じ系統という印象(湯本さんの作品は「夏の庭」しか読んだことがないけれど・・・)。どちらも優しくて、瑞々しくて、読んだあとじんわりとあたたかくなる。こういう文章って女性特有なのかな?男性の作家さんだとこんなに瑞々しい文章って読んだことが無いかもしれない。

こちらは、前に読んだ「サマータイム」のような静かで繊細な感じとはちょっと違って、とても臨場感がある。登場人物たちがすぐそばにいてその息遣いが聞こえてくるようで、ちょっぴりドキドキした。

こういうあったかい話は良いですねぇ。ホント、なんとなく、頑張ろうかな、というような元気が出てきます(いい人になったかは謎・・・)。

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コメント

 こんばんは♪
 TBどうもありがとうございました☆

 「胸がキュンとして、思わずグッときて、むくむく元気が出てくる」
 まさにそんな感じでしたね!
 すっごくおもしろくって、あったかくって、読後感もとてもよかったです◎

投稿: miyukichi | 2006年12月 1日 (金) 21:36

こんばんは。
コメント&TB 、ありがとうございます。
すごく良かったですよねー。
登場人物がそれぞれ生き生きしていて臨場感があって。
大どんでん返し、なんてのはないけれど、なんだかドキドキしました。

投稿: ふぇるまーた | 2006年12月 2日 (土) 19:23

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