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「99%の誘拐」 岡嶋二人

99%の誘拐
末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。そこには八年前、息子をさらわれた時の記憶が書かれていた。そして十二年後、かつての事件に端を発する新たな誘拐が行われる。その犯行はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける。第十回吉川英治文学新人賞受賞作。
             ・
初・岡嶋作品。
コンビで作家って成り立つものなんですかねー。想像できないです。

面白かった。
スピード感があってドキドキだった。
テンポの良さとか、ドキドキ感とか、たまらないですねぇ。
いきなり、緊迫感のある誘拐事件から物語が始まったからびっくりしてしまった。
しかもそれがまだまだ序章だからね。
読後の切なさまじりの爽快な気分は何なんだろう。


この作品には登場人物たちの感情がほとんど描かれていない。
犯人の動機すら描かれていない。
だけど、行間から誘拐された側の恐怖とか過去のトラウマとか悔しさがひしひしと伝わってくる感じがした。
ほんと、少ない言葉でしか描かれていないのに。
でもそのぶん際立っていたような気がした。
心理描写がほとんどなくてドライな感じに物語りはどんどん加速していくんだけど、
たまに隠れていた感情なんかが垣間見られると、うっ、ってなっちゃう。
細かく描かれていなくてもこんなにも伝わってくるものなんですね。

あ、あとあの解説も良かったな。
ネットでいろんな人の感想とか読んで、中には「こんな都合よくいくものか」とか「あり得ない」などという感想も目にしたけれど、
西澤さん(解説の人)がいうように、そんな観点からこの作品を評価するのはちょっと違うんじゃないの?と思った。
で、解説読んで「だよね」と思った。
そういう見方はちっちゃいというか、つまらなくないのかなぁ。
あと、“疾走する「孤独」”という言葉にも納得。
完全犯罪で疾走感があって読後感も良いのに、でもどこか物悲しさというか、寂しさが残る。
あぁそれは根底に「孤独」があるからなんだなぁ・・・と。
しかもこれは彼1人でやるしかない犯罪だったんだろう。
だからこんなに切ない感じがするんですね。


良いなぁこの作家さん(たち?)。
ほかの作品も読んでみたいな。

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