『アヒルと鴨のコインロッカー』、観てきました。

映画『アヒルと鴨のコインロッカー』、観てきました。
ついに、です。
(最近、読めば読むほど『アヒルと鴨』が好きになっていく…。)
恵比寿まで観に行ったけど、けっこうな人気ぶりのようで、「あと残り8席です」って言われて危いところでした。
そんなに人気だったらもっと上映する映画館、増やせばいいのに…。

良かったです。私としては、とても満足でした(偉そう…)。
作品の世界を壊さず丁寧に、変に脚色とかせずに描かれていて、そこが一番良かったです。
気になっていたトリックも、とても自然で、うん、それしかないだろうな、って感じ(?)。
うーん、やっぱりせつなかった…。
登場人物たちがみんな、とてもやさしいなぁと思いました。
河崎の正体を知って、少し泣いてしまう椎名、にこっちは涙です。。。
ちなみに私の泣きポイント(?)は、↑の椎名と、泣き叫びながら車を走らせる瑛太さんのところと、あとはネタバレになるので言えないところ、でした。

キャストも、とても合っていたと思います。
とくに椎名と河崎。
椎名役の濱田岳くん(何故か「くん」づけ)は、すごくかわいくて(失礼かな?)、戸惑った表情がとても合っていて、ハマリ役だったと思う。アパートの脇で会ったブータン人にジェスチャー付きの「何か、困ったことはありませんか?」がものすごくかわいかった(笑)。
河崎役の瑛太さんは、後半の変わり様にはびっくり。2年前を思い出している?ときの表情が、なんともせつないです。あと、最後に椎名を見送るときのあの何ともいえない表情が印象的。

派手さはまるでないけど、小説と同じように観れば観るほど味が出てきそうなスルメ的な映画、という印象。

『重力ピエロ』も映画化が控えていますが、こちらはまだキャストは未定のままですね。
私的には、春はV6の岡田くんならいいかなぁ。美形だし、岡田くんは伊坂さんの作品が好きらしいし、私もちょっと岡田くん好きだし(笑)。
大好きな作品の映画化は楽しみのような、でもどこか残念なような…、複雑ですね。

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「フィッシュストーリー」 伊坂幸太郎

「動物園のエンジン」
「サクリファイス」
「フィッシュストーリー」
「ポテチ」(書き下ろし)
・・・の4篇を収録した短編集。

はじめて読んだ作品だけど、馴染み深い人々が入れかわり立かわり出てきたためか、どことなく、なつかしい感じ。
特に気に入ったのは「フィッシュストーリー」と「ポテチ」。

「フィッシュストーリー」は、連鎖していく感じが良いな、と思った。
大丈夫、繋がっているよ、その歌はちゃんと届いているよ、
と、「フィッシュストーリー」を歌っていたバンドのみんなに伝えてあげたい。
読後感は得意の(?)にやにやでした。

「ポテチ」はこの中で一番好きかも知れない。
『ラッシュライフ』に出てきたタダシが登場。また新たな発見をする。
正直、タダシのことは『ラッシュライフ』のときは何か変な奴だな~くらいにしか思っていなかったけど、でも、すごくすごく好きになった。
ところどころ、え?っていうようにおかしくて楽しかったけど、
でも何だかじわ~っときて、読後感はまた例の(?)にやにやでした。
わー、最近にやにやしてばっかり!人前で本読めないや(笑)。

……なんか、ネタバレしないで感想書くのって難しいな。
ポロッと変なことを言いかねないので、このへんでやめておきます。
あらま。全然わけわかんない感想になっちゃった。


そういえば『フィッシュストーリー』の発売日って、本当は明日だったんですね。
学校帰り、意気揚々と本屋さんへ行ったものの見当たらず、機械で検索してみたら明日発売で、一瞬目の前が真っ暗になってしまった(若干の誇張あり)。
諦めきれずに店員さんに訊いてみたら倉庫から出してきてくれて、ほっと一安心。
密かに、手に入れるまで何軒だって梯子してやるぞ、と思っていたから(笑)。
久しぶりの新しい本、それも発売を待ちに待った作品が手に入った瞬間は、なんとなく誇らしい気分でした。

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「チルドレン」 伊坂幸太郎

チルドレン

こういう奇跡もあるんじゃないか?
まっとうさの「力」は、まだ有効かもしれない。信じること、優しいこと、怒ること。それが報いられた瞬間の輝き。ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「五つの奇跡」の物語。
吉川英治文学新人賞作家、会心の受賞第1作!
              ・
伊坂幸太郎が大好きになった、きっかけの作品。
最初は、装丁に惹かれたのかなぁ。
普段単行本なんてほとんど買わなかったけれど、ふらふら~っと買ってしまったもの。

で、読んでみたらこれがまた・・・。
こんなキャラの濃い人はじめてでちょっぴりカルチャーショックだった。
陣内さんの言動には思わず唖然としてしまったり笑ってしまったりするけど、
だけど時たま良いこと言って考えさせられたり・・・(「チルドレン」のこととか、深いです)。
だけどまたその正反対のこと言ったり(で、武藤さんは何が何だかわかんなくなっちゃったり)・・・。
そういう、上げて落とす、みたいなものも好きだなぁ。
そういうところ、伊坂さんの照れ隠しのように思える。


日常のようで、でもどこか非日常的。だけどあり得はしそう。あってもいいじゃん、って思える。
そんな出来事が描かれている。
大どんでん返しもないし、衝撃のクライマックス!というのもない。
だけど読後感はものすごく爽快。読後感がこんなに良い作品ってはじめてだったかも。
すごく気持ち良くて、読んだあとにもじわじわと来る。

私は、「チルドレンⅡ」と「イン」が好き。
「チルドレンⅡ」はよく考えてみればできすぎな展開だけど、
でも、おぉおおお~っていうようなじわじわした喜びが湧いてくる。
こういう、涙じゃなくて何だかすっごく気持ちが良くてにやにやしちゃうような感動も、はじめてかも。
「イン」は永瀬の視点だからこそ面白い物語。偉そうだけど、伊坂さん、巧いなぁって思う。ほんのりミステリー風味。
最後の永瀬の「甘いかな」はちょっぴり切ない。

時間軸をずらしたり、永瀬の視点から物語を見てみたりすることで、
普通でも面白いエピソードが、ぐっと、ぐぐっとより面白くなる。
「チルドレン」だとそれが際立っているように思う。
何度読んでも良いわぁ。

すごいなぁ。伊坂さん大好きだ(告白)。

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「砂漠」 伊坂幸太郎

砂漠
「大学の一年間なんてあっという間だ」入学、一人暮らし、新しい友人、麻雀、合コン…。学生生活を楽しむ五人の大学生が、社会という“砂漠”に囲まれた“オアシス”で超能力に遭遇し、不穏な犯罪者に翻弄され、まばたきする間に過ぎゆく日々を送っていく。パワーみなぎる、誰も知らない青春小説。
              ・
表紙がファンキー(笑)。なんて顔しているんだ!?
この表紙は絶対に伊坂さんが仕組んだんだと思う。わざとだ。狙ったんだ。
きっと、この本をレジに持っていくときのこととか考えてこの表紙にしたんだ。
だって正直恥ずかしかったもん(笑)。
              ・
社会という砂漠に出る前の、大学生活というオアシスでの物語。
今、私はまだ大学生じゃないけど、オアシスにいるのかなぁ…なんて思いながら読んだ。
久し振りに読んだらまたちょっと泣きそうになった。

こじつけの「中」上がりのところ。
おおっ!て思った。さすが西嶋。すごいよ。
西嶋がやったことは馬鹿らしくてくだらないとも言えるのかもしれない。
だけど、こういう馬鹿馬鹿しいことってすごく良いなぁって思う。
ぎゃははと笑う“当たり前”の大きさに気付かされた。
そしてその“当たり前”を取り戻してくれた西嶋の大きさにも。

西嶋が東堂に言った言葉。
「俺は恵まれないことには慣れてますけどね、大学に入って、友達に恵まれましたよ」
西嶋がこんなこと言うなんて、意外。
グッと来ました。


「砂漠」の中では西嶋が好きかなぁ。
キャラ濃いけど。
実際にいたら扱いに困るかもだけど。
だけど、西嶋の考え方とか、そう来るかぁ~って感じで面白いし、
いつでも堂々としている姿はちょっと恰好良いし。
私じゃとても真似できないや。

「砂漠」の中ではいたるところで麻雀が出てきますが、私麻雀わからない・・・。
知っているほうがやっぱり面白いんだろうなぁ。。。
大学生になったら絶対に麻雀を覚えよう、と思った。

なんてことは、まるでない。

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「アヒルと鴨のコインロッカー」 伊坂幸太郎

アヒルと鴨のコインロッカー

引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の美青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ち掛けてきた。彼の標的は―たった一冊の広辞苑。僕は訪問販売の口車に乗せられ、危うく数十万円の教材を買いそうになった実績を持っているが、書店強盗は訪問販売とは訳が違う。しかし決行の夜、あろうことか僕はモデルガンを持って、書店の裏口に立ってしまったのだ!四散した断片が描き出す物語の全体像は?注目の気鋭による清冽なミステリ。

              ・

久し振りに再読。はじめて読んだとき、私自身、主人公である「僕」と同じように河崎たちに振り回されていた印象があった。2年前と現在が交互に語られ、この話はこの先一体どうやってまとまっていくのだろう・・・?と訝しながら読み進めていた。それが後半一気に加速し、ひとつに繋がるところはとても気持ちが良いというか、なんだか興奮してしまった・・f(^-^:) でも、こんなに哀しいラストが待っているとは正直思っていなかった。ドルジが切なすぎる。現在の河崎の口からは、2年前3人が交わしていた言葉がたくさん出てくる。それを思うと、また切ない。3人の物語に途中参加しているから、話を聞かされても「あ、そうなんですか」としか言えない椎名も寂しい。でも麗子さんが変わったところには少しなぐさめられた気がするかも。動物園での話(2年前も現在も)が好き。

最初読んだとき読後感がすごく哀しかったから、あんまり・・・と思っていたけれど、これは2度読むと違うなぁ。。。絶対2度読んだほうが良いと思う。

この作品、タイトルがまた素敵です。最後まで読んでまた表紙に戻りこのタイトルを見ると・・・感慨もひとしお。

              ・

「アヒルと鴨~」は今度映画化されるそうですね。この作品って、小説だから成り立っているというか、映像化できないところがあるから・・・、その辺はどうなるんでしょう?2年前は語りだけとかになっちゃうのかなぁ(そうだったら嫌だな・・・)。楽しみだけど、どうなるものやら・・・。あー、でも実はあんまり映像にしてほしくないかも。。。映像が入ってきたらその時点で想像力止まっちゃいそう。

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「重力ピエロ」 伊坂幸太郎

重力ピエロ    新潮文庫 (い-69-3)
伊坂 幸太郎 (著)

重力ピエロ
文庫化された伊坂幸太郎さんの「重力ピエロ」読み終わりました。大きいほうも持っているけれど、改稿されていたからやっぱり買っちゃった。高校生の頃の春の話が付け足されていたり、目次の題名が微妙に違ったり、より無駄な会話が増えたり・・・(^-^)と、ところどころ違うところがいくつかありました。

            ・

やっぱり、これは良い。良い作品だと思う。

何度も読んだけれど、それでも最後のお父さんの言葉にはじーんとなって、ついでに鳥肌が立つ。なんでもないような言葉なんだけど、その重みや温かさが伝わってくる言葉ですごく良い。その言葉で何だか自分も救われたような気がした。そしてこの家族は遺伝子だとか染色体だとか色々難しい話をしているけれど、一番それを無視しているのが本人たちだと思う。血の繋がりだとか、普段私たちを縛り付けている重力を軽々と超越してしまっている。すごいなぁ・・・って思った。最強の家族だ。

泉水と春の関係もすごく良いと思った。一緒に居てもらえるだけで何だか心強い、というような無条件の信頼関係は簡単には築かれないものだし。いくつになってもお互い大好きで大切に(お守りのように←これは春だけ?)思い合っている、そんな関係。最強の兄弟だ。

             ・

春のしたことには賛否両論あると思う。だけど私は春のしたことは間違いではなかったと思う。同様に、「正しい」とも思わない。じゃあどうすればよかったんだ?と言われても分からないけれど。正解のあるようなものじゃないし。

設定からして、重く描こうとしたらいくらでもできるのに、この読後感の良さは何なんだろう?軽快で明るい雰囲気で物語りは進んでいくのに軽くない。かと言って重くもない。そして、心にずーんとくる。

「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」

という言葉を地でいく作品だと思った。

            ・

難しいことを難しく言ったり、深刻なことを真面目に深刻に伝えたりすることは簡単だけど、難しいことを易しく言ったり深刻なことを陽気に伝えることってなかなか容易ではない。だけどその分より伝わるというか、刻み込まれる気がする。「重力ピエロ」もそんな作品だと思った。

★★★★★

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「陽気なギャングの日常と襲撃」 伊坂幸太郎

「陽気なギャングの日常と襲撃」

陽気なギャングの日常と襲撃―長編サスペンス

『陽気なギャングが地球を回す』待望の新作!ウソ発見器+体内時計+スリ+演説=………史上最強の天才強盗4人組が帰って来た!
刃物男、「幻の女」、謎の招待券、殴打事件、そして銀行襲撃の裏には………
人間嘘発見器成瀬(なるせ)が遭遇した刃物男騒動、演説の達人響野(きょうの)は「幻の女」を探し、正確無比な“体内時計”の持ち主雪子(ゆきこ)は謎の招待券(チケット)の真意を追う。そして天才スリの久遠(くおん)は殴打される中年男に――史上最強の天才強盗(ギャング)4人組が巻き込まれたバラバラな事件(トラブル)。だが、華麗なる銀行襲撃の裏に突如浮上した「社長令嬢誘拐事件」と奇妙な連鎖を始め…。絶品のプロット、会話、伏線が織りなす軽快サスペンス! 伊坂ブームの起爆剤にして、映画化で話題の「陽気なギャング」ここに待望の復活!

             ・

本当は5/10発売だったんだけど、近くの本屋さんで8日にこの作品を入手することが出来た!ありがとう明正堂!学校帰りに買ったんだけど、うれしくて待ちきれなくて、駅から家まで徒歩で15分かかるところを10分で家に帰り、即、その日のうちに読んじゃった。

いやぁ~、今回も面白かった・・・。うーん、楽しみにしていた甲斐があった・・・(^-^)

だけど読み耽ったおかげで、そのあと次の日の宿題を終えるのにかなり苦労した。。。(;-;)こんなんだからお母さんに「もう本読むのやめなさい!」って言われるんだ・・・。

               ・               

「陽気なギャングの~」には、4人がそれぞれ遭遇した物語と、4人が巻き込まれたトラブルの話と、短編と長編が収録されていてお得な感じ。

4人はそれぞれキャラが濃いけれど、その中でお気に入りは久遠。でも成瀬さんもかっこいい。あ、響野さんも良いキャラだよな・・・。雪子もけっこう面白いし。。。久遠の無邪気であっけらかんとしたところが好き。響野さんとの掛け合いも楽しい。―・・・あー、でもやっぱみんな好きかもだなぁ。普段私は1つの小説の主要な登場人物の中に、お気に入りのキャラとそうでないキャラが必ずといっていいほどいるんだけど、伊坂さんの作品に出てくる人たちはみんな好きだなぁ。

               ・

「陽気なギャングが地球を回す」は明日映画公開。必見だ!

★★★★★

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「Ⅰ Love You」

I love you

I Love You―伊坂幸太郎、石田衣良、市川拓司、中田永一、中村航、本田孝好・著

祥伝社創立35周年記念特別出版
愛してる、って言葉だけじゃ足りない(オール書下ろし)
恋愛には物語がある。
初めて異性を意識しはじめたとき、相手とのあいだに微妙な距離感を感じたとき、初恋の同級生との再会を果たしたとき、そして別れを予感したとき…。
さまざまな断片から生まれるストーリーを、現在もっとも注目を集める男性作家たちが紡ぐ、至高の恋愛アンソロジー

                ・

ぶっちゃけ伊坂幸太郎目当てで買って、他の人の作品にはそんなに期待していなかったのだけど(読んだことなかったし)、でも、(うれしいことに)予想に反してどの作品もとても良かった。

私は、今まで何冊か読んでみて、やっぱり自分には恋愛小説は向いていないなぁと思っていて、この作品集も、伊坂幸太郎のは読みたいけど他の人のがどんな感じなのか分からなくてなかなか手が出なかった。だけどこの本は読んでみると、ベタベタしていなくて私好みの作品が多かった。

ですが、やっぱり1番を挙げるのなら、伊坂幸太郎さん。最後の余韻がまた最高。些細なことをあたたかく見つめて、静かに見守っているような優しさがあって、すっごく良かった。最後に起こる小さな奇跡には鳥肌が立って、すごくあたたかい気持ちになった。伊坂さんの作品は読んだあとに何とも言えない幸福感とあたたかさに満たされる。これもじわぁ~っと沁みてきた。伊坂幸太郎が恋愛小説を描くとこんな風に仕上がるのね、と、また新たな魅力も発見。でも恋愛だけじゃなくて「人と人のつながり」がテーマかな、とも思った。

ほかには中村航さんの「突き抜けろ」も良かった。たぶんあれ恋愛小説じゃないと思うけど・・・(^-^;)

この作品集がきっかけで気に入る作家さんが見つかるかも ^ー^)b

★★★★★   

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「オーデュボンの祈り」 伊坂幸太郎

オーデュボンの祈り

コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか―?

                   ・

伊坂幸太郎さんのデビュー作、「オーデュボンの祈り」を久々に読み返してみた。この本は、まだ2回目くらいかな、他の作品と比べると、読み返した回数が少ない作品です。

初めて読んだときの感想は、不思議な小説だ・・・という感じだったと思う。コンビニ強盗に失敗した伊藤が、気付いたら見知らぬ島にいて、そんでもってその島には人語を操り未来を見通せるカカシが存在する―。まるでリアリティがないような感じなんだけど、でもどこかリアル。不思議な世界なんだけど、あまり違和感は感じない。

今回は、園山さんの話がすごく良いなぁ・・・!と思った。強いですよね。園山さんが何であんなしゃべり方をするのか、どうしておかしくなってしまったのか、それがわかったとき、言いようのないあたたかいものがじわじわと込みあげてきたような気がした。じんわり・・・。

最初読んだときはあんなにバラバラなのもがひとつに集約されていくさまにただただ感動していただけだったけど、今回読んでみたらこんなにいい話だったっけ?と思うくらい良かった。これがデビュー作か・・・。すっげーな伊坂さん。

未来が見えてしまう者の苦悩、名探偵の話・・・などなど興味深い話も。私自身も小さい頃「名探偵コナン」を観て、「コナンたちが出掛けると必ず人が死んじゃうよなぁ。何で誰もコナンたちを疑わないのかなぁ・・・?」と思っていたけれど、名探偵にも名探偵なりの苦悩があったんだな、と思った。伊坂さんは視点が面白い方だなぁ・・・。伊坂さんの作品には必ず何箇所か、印象的な台詞や話があって、毎回「こんな考え方もあるのかぁ・・・」と思いながら読んでいる。そういうのって、すごく良いよね。(?)

最後に。「オーデュボンの祈り」は“ミステリー”というジャンルだけに留めておくにはもったいないような、そんな印象を持ちました。

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「終末のフール」 伊坂幸太郎

終末のフール
終末のフール
  • 発売元: 集英社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2006/03

24日発売のはずなのに、昨日、もう「終末のフール」を手に入れることが出来ました。こんなに早く味わうことが出来るとは思っていなかったから、うれしいです。教えてくれたお姉ちゃん、ありがとう・・・!

             ・

感想は・・・。難しいです。なんだか、希望だとか未来がその先にありそうな気がする。

世界の終末を描いた8つの作品が収められているのですが、どれもこれも読後感が切ないけれど何とも言えずあたたかで・・・。どれが一番良かったか?って訊かれても答えられないくらい、どれも面白くて不思議であたたかで味わい深い。

ですが、強いて挙げるなら、「太陽のシール」、かな。

             ・

長い間子供が出来なかった夫婦に待望の子供が授かる。しかし産んだところで子供はあと3年しか生きられない。さて、子供は産むべきか、それとも産まざるべきか・・・。この問題に、優柔不断の夫・富士夫の出す答えは―?

「勝手にしてくれ」、「君の好きなようにして良いよ」・・・そう言うのは簡単。だけど、自分で悩んだ末に生まれてくる子供のことを思って答えを出す、それが一番大事なんじゃないかなぁと思った。じわぁっと涙が滲んだ。読後感もまた良し。

だけどほかのものもみんなどれもすごく素敵だった。やっぱり会話はところどころ意外な言葉が出てきたりして(甲子園の魔物とか未来ちゃんとせせらぎのこととか)思わず噴出しちゃうようなところもあるけれど、でもどの作品もそれぞれの喜怒哀楽が伝わってきて、それもあと3年で終わりなのかな、と考えると辛くて・・・。なんか、いつ死ぬのかわからないほうが良いのかもしれないとも思った。苗場さんの言葉が響いた。

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