「温室デイズ」 瀬尾まいこ

『温室デイズ』という題名から連想できることとは程遠い、
学級崩壊やいじめが取り上げられた作品。
崩壊していく学校をなんとかしようとして、ひとり声を挙げる。
それがきっかけでクラスからいじめの標的にされる、中学3年生のみちる。

小学校から今まで、そういったものとは無縁で生きてきた私には、みちるの学校の現状・執拗ないじめはけっこうショッキングで、
読んでいてヒリヒリするような感覚でした。
考えてみれば、私って、正真正銘の“温室”のなかでぬくぬくと育っているんだなぁ・・・なんて思いました。
くだらないことが発端の、こんな深刻なものを抱えている同年代の子がいるのかと思うと、それはすごく不思議で、すごく苦しい。

味方になってくれるような、信頼できる先生。
最後の最後で分かり合えるクラスメイト。
そして、ハッピーエンド。
そんなものがまるでないところがすごく生々しい。

中学校の先生である瀬尾さんが描くと、余計にリアル。

「そんなにつらいなら学校に来ないという選択もあるんだよ」
という慰めの言葉に
「何も悪いことをしていないのに、何で私が逃げなければならないのか」
と、食ってかかるみちる。
みちるは正しい。だけど、正しいことはいつも味方になるわけじゃない

優子が目をそらしてしまうのも仕方ないことなのかもしれない。
私はいじめとか暴力に免疫がない分余計、みちるのようには絶対になれないと思う。
ひとりで立ち向かっていくみちるに、強い、とか、すごい、なんて陳腐な言葉じゃ失礼だ。

作品自体は薄いけど、決して読み流せない。
なんか、ズン、ってきました。

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「優しい音楽」 瀬尾まいこ

優しい音楽

相変わらず、瀬尾さんの作品は読みやすい。
押し付けがましさが一切ないから、すーっと体に入ってくる。
気に入ったのは「タイムラグ」と「がらくた効果」かな。
どの物語もどこかずれていて、でも優しくてあたたかくて、
そして読み終わったあと、心がぽかりする。
“心がぽかりする”って、なんか良いですね。
響きも、そこからふくらむ気持ちも。
喪失感、とか寂寥の感、なんて言葉よりずっとわかりやすくて伝わるかんじ。

あ、詳細は『優しい音楽』収録の「タイムラグ」をどうぞ。

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「卵の緒」 瀬尾まいこ

卵の緒

卵の緒

むふぁー・・・。
うんうん。うん。良かった。
やっぱ瀬尾さん好きです。大好きです。
なんか、読むたびにどんどん好きになっているな。
瀬尾さんは家族を描くのが上手ですね。すごい。

「卵の緒」の読後感は幸せな気分。ものすごくあったかい物語です。
なんとなく、池内君が気になる。

「7's blood」はじわじわきて、そして最後はちょっと切ない。
この作品、かなり好きだ。
やっぱり、“家族”は血が繋がっているとか、そんなちゃっちいものじゃないな。
そんなことを考えました。
『重力ピエロ』も然り、『卵の緒』もまた然り、ですね。

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「幸福な食卓」 瀬尾まいこ

夜中の1時過ぎから読み出して、今朝3時半過ぎに読了。
朝っぱらから大掃除に張り切っちゃってる母に7時過ぎに起こされたので寝不足です。


面白かった。たくさんくすくす笑えて楽しかった。3章までは。
終盤の、あの出来事には息が止まった。
そのあとはもう、涙が止まらなかった。
夜中というか朝方に号泣ですよ。一緒に寝ていた猫が驚くほどに。。。
すごく哀しくてつらくて苦しくて、でも最後にはどこか救われて楽になったけど、だけどそんな哀しいことが起こらなきゃ家族の大切さってわからないものなのかなぁ?
佐和子や佐和子の家族や大浦君のことが大好きになっちゃったからこそやりきれない。
こんなに哀しいのってヤだよぉ、瀬尾さん。

はぁー・・・。何で私、内容知っていたのにこんなにショック受けてるんだろう。知っているはずなのに、直前になると完全に忘れるというか、そんなこと考えもしなくなっていて・・・。『こころ』も同じように、先生の死が信じられなかったもんなぁ。あらすじ知ってたのに・・・。


もう、ここに出てきた人みんな大好きになっちゃった。
とくに、最初うわ~って思っていた小林ヨシコに、最後にしてやられた。すっごくいい人じゃないか(驚)。

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「天国はまだ遠く」 瀬尾まいこ

天国はまだ遠く
仕事も人間関係もうまくいかず、毎日辛くて息が詰りそう。23歳の千鶴は、会社を辞めて死ぬつもりだった。辿り着いた山奥の民宿で、睡眠薬を飲むのだが、死に切れなかった。自殺を諦めた彼女は、民宿の田村さんの大雑把な優しさに癒されていく。大らかな村人や大自然に囲まれた充足した日々。だが、千鶴は気づいてしまう、自分の居場所がここにないことに。心にしみる清爽な旅立ちの物語。
              ・
すごいじわ~っとくる。沁みる。

特別何かあるっていうわけじゃない。
のんびりとした、居心地のいい日々が淡々と、静かに描かれている。
だけど、最後の1ページはなぜか、すごく胸がきゅぅっとなって泣きそうになった。
別にすごく悲しいことが描かれているわけじゃない。
希望に満ち溢れた未来、ってわけでもない。
だけど、こみ上げてくるものがあった。
なんだろう、何だかすごく素直に前向きになれそうな気がする。

淡々として、優しくて、あったかくて、今の季節のようにそこはかとなく物悲しさが漂う文章。
押し付けがましくなく、前を向いてみようかな、進んでみようかな、そんなふうに思わせてくれる作品でした。
いつまでも居心地のいい場所にしがみついていないで、
自分から自分の居場所を探しに行こうとする千鶴は潔い。
これからがはじまり。




瀬尾まいこさん、好きになっちゃったかも。

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読書の秋

この1週間、ずっと本読んでいました。
帰宅、読書、夕飯、読書、お風呂、読書、寝る、起きる、急いで宿題、通学中に読書、休み時間に読書・・・。
こんなふうに次から次へと読む本に囲まれて読書中心の生活ができるなんて・・・幸せです。
たぶん今私の中で今年第2次読書ブームが到来している(ちなみに今年の1次は夏休み中だった)。

日曜日、図書館で借りた6冊を気に入った順に並べると、
「イレギュラー」
「図書館の神様」
「反乱のボヤージュ」
「悪党たちは千里を走る」
「ぼくは悪党になりたい」
「キャッチ ア ウェーブ」

かな。
でも、「イレギュラー」と「神様」はタイ、「ボヤージュ」と「千里」もタイかなぁ。系統は全然違うけど。
全部の感想を書くだけの元気がないので、3作だけ感想を。


「イレギュラー」
楽しかった。てんこ盛りな感じ。そして爽快。
笑えるポイントがいっぱいあって少し苦しかった。
家で読んでよかった。
狭間の悲しい顔・・・。打開策もまた・・・。「せつな系」って・・・。
思い出し笑いまでしちゃいそうです。


「図書館の神様」
先週の模試に出てきて、良い感じで、読んでみた。
ベネッセの模試の小説は良いね。この前も「東京タワー」が出たし。
雰囲気が気に入ったなぁ。ほかの作品も読んでみたい。
どこがどう、というわけじゃないんだけど、じんわりくる。
夏目漱石の「夢十夜」も読みたい。


「キャッチ ア ウェーブ」
高校生が書いた小説、ということでちょっと楽しみにしていたのですが、うーん。。。それにしても・・・。結構評判良さそうだけど。これが?って思った。
薄い、と思うなぁ、内容が。内容も。1時間半あれば読めちゃうと思う。
あと、会話内でやたらと「!」が多用されていたことにもだんだんイライラしてきた・・・f(-_-;
盛り上がりに欠けるし、ありきたり~な感じだし、読後も別にそんなに良くない。期待しすぎたかな?
少し辛口に評価してしまいました。同じ高校生の一意見ですので悪しからず。

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