「時生」 東野圭吾

時生

不治の病を患う息子に最期のときが訪れつつあるとき、宮本拓実は妻に、二十年以上前に出会った少年との想い出を語りはじめる。どうしようもない若者だった拓実は、「トキオ」と名乗る少年と共に、謎を残して消えた恋人・千鶴の行方を追った―。過去、現在、未来が交錯するベストセラー作家の集大成作品。

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設定は、非現実的で、しかも結論から物語ははじまる。展開が読めてしまうけれどそのぶん何というか、安心して読めたような気がする。内容的にはバック・トゥ・ザ・フューチャーみたいなかんじ。“過去を変えたら―”なんて言葉も出てくるし。だけどそんな設定なのに違和感なく読めてしまう。

主人公はどうしようもない人だけど、母親に捨てられたと言う過去も抱えていて、そのせいかどうせ自分は・・・的な卑屈な考え方で、上手くいかないことの責任はすべて他人のせいにしてしまう。そんな拓実がトキオと出会いいろんな人と関わり、実の母親や今まで誰かもわからなかった父親の想いを知り、だんだんと変わっていく。

「死を前にしてる人間の気持ちがあんたにわかるのかよ」

「明日だけが未来じゃないんだ。それは心の中にある」

このトキオの言葉は、トキオの運命を知っているからより切ない。苦しいくらい。

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東野さんの作品ははじめて読んだけれど、「時生」を読んだ感じでは私に合っていそう。切ないけれどあたたかく、なにか心に残る物語だと思いました。

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